電話やSNSを通じて、対面せずに信頼させて金品をだまし取る特殊詐欺の被害が県内でも深刻化している。8月に着任した秋田県警本部の重成浩司本部長に被害防止に向けた取り組みなどを聞いた。(広瀬辰馬、鈴木茉衣、荒川真琴)
これまでは県土の広さや人口の分散、冬季の積雪の影響や移動手段などから、県外から入県して行われる犯罪はコストとリスクが高いため、地理的に守られてきたと考えている。現在、その治安の良さを引き下げようとしているのが特殊詐欺だ。昨年の被害額が約13億円と2年連続で過去最悪を更新しており、非常に危機的な状況だ。電話の他に、SNSなどサイバー空間を悪用して対面しないで犯行を行うという手口から、地理的な守りが効きにくくなっている。この脅威をより深刻な状態になる前に食い止めるべく、今が正念場だ。
全国の警察と連携して「被疑者の検挙」と「社会による抑止」を両輪に強化していく。特に特殊詐欺に関与しているとみられる匿名・流動型犯罪グループは、匿名性の高い通信手段を利用し、資金の流れを仮装、隠匿して検挙を免れようとしている。中核的な人物を検挙するためにも、サイバー警察事務の専門人材と機材を集約し、組織の能力向上を図る組織再編に向けた条例改正案を県議会に提出している。
自治体や金融機関などの関係団体も危機的な状況だとして一緒に動いてくれている。SNS利用者に注意を促すウェブ広告や大学・企業への最新の手口紹介などあらゆる年齢層に応じた注意喚起を行っている。
――特殊詐欺被害に遭わないために県民ができる対策は。
詐欺電話の多くを占める国際電話の犯行を抑止するため、スマートフォンへの国際電話を遮断する機能などがある「警察庁推奨アプリ」の普及を推進している。私も利用しており、詐欺の恐れがある電話を表示で知らせてくれる。固定電話での国際電話利用停止手続きと併せて標準装備にしてほしい。警察官を 騙 る詐欺については、相手から「金銭の要求」や「地元の警察には内緒にしてほしい」という言葉が出てきた際には、迷わず近くの警察署に問い合わせていただきたい。「必ず 儲 かる」「確実に利益が出る」といった儲け話があった場合は、他の人に言わないように言われても、家族など信頼できる人に一度相談してほしい。