南さつま市出身のアマチュア天文家、宇都文昭さん(78)は自らが発見した小惑星に「Minamisatsuma(ミナミサツマ)」と命名した。世界の天文学者でつくる国際組織「国際天文学連合(IAU)」が今年5月に承認した。同市で天文台を運営する宇都さんは「星空がきれいな古里への感謝を込めた。子どもたちが宇宙に興味を持つきっかけになれば」と話している。
宇都さんは中学2年時に父から望遠鏡を買ってもらったことをきっかけに宇宙に興味を持った。小遣いをためては高性能のレンズを購入し、加世田の自宅前で月や土星を見ていたという。
大学卒業後、奈良県で放射線技師として働きながら本格的に天体観測を始め、42歳の時に約250万円をかけて山の頂上付近に2階建ての観測施設を造った。宇都さんは「(数百万個あるとされる)小惑星は軌道を外れて地球に向かってくる可能性がある。あらかじめ軌道を把握することが重要で、プロだけではなく、アマチュア天文家の参加も欠かせない」とその意義を語る。
直径20センチの反射望遠鏡を用いて長時間露光の写真を30分間隔で撮影し、小惑星の移動経路を推定する手法で新たな小惑星を探し、1992年頃から7年間で計22個を発見した。宇都さんは「午前3時まで観測し、職場に行っていた。体力的にはきつかったが、新たな小惑星を見つけたときは興奮して楽しかった」と振り返る。
小惑星ミナミサツマは、火星と木星の間に広がる「小惑星帯」に位置し、直径は数キロ~数十キロ程度と推定される小さな天体で、望遠鏡でとらえた画像を顕微鏡でつぶさに観察して約30年前に発見した。英語で申請するなどの手続きが煩雑で命名していなかったが、昨年、NPO法人「東亜天文学会」(神戸市)が仲介し、今年5月にIAUに承認された。ミナミサツマの認定証は今月上旬、同市に寄贈した。
宇都さんは2016年11月に同市に「コリノ天文台」を設置。2種類の望遠鏡を備え、毎月2回程度、地元の子どもたちと星空を観測している。宇都さんは「星を見始めたのは南さつまの美しい星空があったから。今後も魅力を伝え続けたい」と意気込む。