梨と肉みそ。意外な組み合わせに引かれ、柴田町の「ナルミ・キッチン ラボ」で「梨&肉みそパイ」(税込み529円)を注文した。四角いパイを半分に割ると、肉みその上に角切りの梨がたっぷり。サクサクの生地をかじると、肉みその塩気とうまみに、シャキシャキとした梨の甘みが重なり、気づいたら完食していた。
店主の鳴海 智江 さん(51)は「どうせなら、みんなが『えっ』と驚くものの方がいい」と笑う。肉みそには大河原町の「和豚もちぶた」を使い、その上に角田市産の梨をのせる。「果物にはあまり手を加えたくない」と生の食感を生かしている。
メニューが生まれたのは今年だ。春に販売した肉みそとタケノコのパイで、タケノコの季節が終わると「じゃあ梨を入れよう」と提案した。併設する飲食店「ナルミ・キッチン」でも、肉料理にリンゴやユズ、梅ジャムなどを使ってきた。「普通じゃない方が面白い」。スタッフの試食でも好評で商品化が決まった。
町内の農家に生まれた鳴海さんは、2010年に飲食店「ナルミ・キッチン」を開き、仙南地域の食材を生かしたメニューを提供してきた。ラボは、さらに土産物を作る拠点という位置づけで、飲食店に併設する形で2024年5月にオープンした。
店では、定番のミートパイやアップルパイなど常時10種類前後を並べる。春の「しばた桜まつり」に多くの観光客が訪れるのを見て、地元ならではの土産品を増やしたいと考えたという。
パイを選んだのには、働き方への思いもある。スタッフ4人はいずれも主婦で、菓子作りは未経験からのスタート。子どもの急病時にも休み、別の人が代われるよう、レシピがあれば誰でも加工できる冷凍パイ生地を使う。「自分たちがおいしいと思うものしか出したくない」と複数を食べ比べて生地を選んだ。
将来は、県南で捕獲されたイノシシやシカを使ったジビエパイの商品化も目指す。夫の大和さん(57)が猟友会に所属し、捕獲された肉が廃棄される現状を見てきた。「ちゃんと処理した肉は本当においしい。捨てられているのはもったいない」と鳴海さん。
「来るたびに違うものがあるので、楽しんでもらいたい」。次はどんな食材がパイに包まれるのか。驚きの組み合わせを探しに、またのぞいてみたくなった。(矢吹大輔)
【メモ】柴田町船岡新栄3の43の8。午前10時~午後6時。木曜定休。(電)0224・66・5575。