スクイーズ 人気に弾み SNSから再燃 専門店続々 大人にも

スクイーズ 人気に弾み SNSから再燃 専門店続々 大人にも

ギュッと握って遊ぶおもちゃの「スクイーズ」が空前のブームになっている。柔らかい感触を楽しむSNSの動画をきっかけに認知度が高まった。都内では専門店の出店が相次ぎ、子供から大人まで買い求めに訪れている。(浦上華穂)

「ふわふわしている」「こっちは少し重たいね」

今月11日、武蔵野市の吉祥寺パルコで、スクイーズ専門店「PUNIKKO by TOKOTOYZ(ぷにっこ・バイ・トコトイズ)」がオープンした。ケーキ店をイメージしたショーケースには、ケーキや豆腐、大福などを模した30種類以上の商品が陳列されている。

値段は1個1800~3500円程度。この日は、インターネットで事前に予約した親子連れや若い女性らが訪れ、1個ずつ感触を確かめながら選んでいた。

杉並区の主婦小野萌さん(34)は2歳の娘と来店し、バターサンドに似せたスクイーズ1個を購入。好きな女性アイドルが同店の商品を薦めるSNSの投稿を見て買いに来たといい、「程よく弾力があって、ストレス解消に良さそう」と笑顔を見せた。

友人と訪れた三鷹市の大学3年、大村友愛佳さん(20)は「スクイーズは常に持ち歩いている。電車を待っている時に無心でもんでしまう」と話した。

同店を運営するライフスタイルカンパニー(中央区)はこれまで、化粧品やホビー商品の開発を手がけてきたが、スクイーズの人気の高まりを受け、昨年12月からオンラインで自社製品の販売を始めた。今年5月以降、池袋と渋谷に相次いで専門店を構え、吉祥寺は3店舗目となる。

商品は主に食品をモチーフにしており、そのイメージに合うように、素材や材料の配合を変えて硬さを調整している。同社広報担当の片見かりんさん(25)は「見た目や触感まで本物に近づけることを意識している」と話す。

これまでに計30万個が売れ、会社全体の売り上げの3割超を占めているといい、今後、札幌市や広島市にも専門店を出す考えだ。

都内では、他のメーカーも今年8月に原宿に出店するなど販売競争が激化している。

2016年に日本初の専門店を原宿で開業した日本スクイーズセンター(渋谷区)によると、スクイーズは00年代初めに、ゲームセンターの景品などとして販売され、小学生らの間で度々ブームとなった。

今回のブームは、TikTokなどに投稿されたスクイーズの動画がきっかけで起こり、大人もこぞって買い求めているのが特徴だ。従来のポリウレタン素材ではなく、水のようにとろけるシリコーン製の「水感スクイーズ」が特に人気で、海外のメーカーも開発に乗り出している。中には、ロウでコーティングされた表面をパキパキと割って楽しむ製品もあるという。

日本スクイーズセンターは「SNSを通じて世界的なトレンドになりつつある。『新触感』や『音』、『集める楽しさ』など、新しい要素が次々と加わっていることが、再ブームにつながっている」とみる。

スクイーズは、心のケア用品としても注目されている。

大手玩具メーカーのバンダイ(台東区)は22年から「災害支援おもちゃ」を企画し、避難所で子供たちが気を紛らわすことができるよう、持ち運びやすい手のひらサイズの「スクイーズ人形」を開発した。中野区や台東区などの自治体に無償で提供しているという。

同社は「災害時に不安を抱える子供たちへの支援につながれば」としている。

触覚研究者で、慶応大学の仲谷正史准教授(神経科学)は「やわらかい感覚と心地良さには相関関係があるとされる。AI(人工知能)の台頭などで、身体的な手応えの少ない仕事が増えている中、触覚に訴えかけるものに魅力を感じる側面もあるのではないか」と話している。

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