にぎわい創出民間主導へ 富山市まちづくり推進課 佐伯哲弥さん

にぎわい創出民間主導へ 富山市まちづくり推進課 佐伯哲弥さん

「はみ出し公務員」との異名を持ち、インターネットメディアが主催する今年の「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2026」で、全国162件の応募の中から、11人のアワードの1人に選ばれた。

富山市内中心部で車両規制を行い、歩行者と路面電車だけが通行できる安全な空間で開かれたイベント「富山トランジットモール」に携わり、街のにぎわい創出に貢献した。特殊なパネルを使った溶けないスケート場「エコリンク」をグランドプラザに設置するなどの事業も手がけた。

こうした試みが、「市民の暮らしをより良くするという目的のために、行政の枠を超えて考え、行動している」などと評価された。

受賞について、「地方公務員は普段から住民との関わりが深いので、市民目線でまちづくりを行うことができる」と胸を張る。

富山市出身。高校時代はカヌーで汗を流す体育会系だった。2000年の「とやま国体」に向け、富山市総合体育館などの様々な施設が整備される様子を見て「マジックのように街が変わっていく」と感激した。街の変革に自らも携わりたいと、大学を卒業した01年、22歳で入庁し、体育課(現スポーツ健康課)に配属された。

すぐに壁に直面する。自分のアイデアや仕事のやりかたを主張しても、上司からは「課長になってから、そういう話は言いなさい」との冷たい反応。「課長になるまで30年。何をすればいいんだ」と落ち込んだ。

それでもめげずに前に進んだ。市役所から立山の山頂までの「旧立山道」を3日間歩くイベントに取り組んだところ、周囲からは「ガッツがある」と評価が高まった。転機は28歳の時に訪れた。森雅志・前市長がコンパクトシティ戦略を進める中で、名指しで路面電車を運営する第3セクター「富山ライトレール」への出向を命じられた。

同社では当時、ライトレールの認知度の低さが課題で、ネクタイなどのグッズを製作していた。自動車保有率が全国2位という車社会の富山県にあって、ライトレールの利用を進めるため、1人で箱に詰めたネクタイを持って富山駅周辺の居酒屋を回って声をかけた。

「飲んだ後に、ライトレールで帰りませんか」。1本3000円のネクタイは完売し、その予算で新たな事業にも取りかかることができた。破天荒な行動から「はみ出し公務員」と言われるようになったという。

その後は20年間、まちづくりの分野で経験を積み、現在は藤井裕久市長の下で、富山駅周辺の活性化に取り組んでいる。「トヤマチ∞ミライ」と称する構想では、あいの風とやま鉄道や富山ターミナルビルなどの関係者で構成する委員会を結成し、将来の社団法人化を目指している。

今後のまちづくりについて、「民間とは違い、公的な立場で中長期に関わることが大切。行政が資金を費やし、にぎわいを創出するのではなく、民間主導で進める環境作りを整えていきたい」と話している。

Recommended articles