地域の足を守る新たな運転士を確保しようと、高岡、射水両市を結ぶ路面電車を運行する第3セクター「万葉線」(高岡市)が、初めて新卒の高校生を対象に採用募集を始めた。同社は運転士不足によって、ダイヤを一部運休する対応を迫られており、若手採用に力を入れる。(岸本健太郎)
同社が高卒の運転士募集に踏み切った背景には、路面電車の運転に必要な「動力車操縦者運転免許」の受験可能年齢の引き下げがある。2024年に国土交通省の省令改正により、これまでの20歳以上から18歳以上となったことで、高卒でも免許を取得し、運転士として勤務できるようになった。
これまでは運転士を中途採用したり、ハローワークなどを通じて入社した中途採用者が6~8か月の養成期間を経て受験し、免許を取得して運転士として働いたりしてきた。
しかし、今年度は退職者が相次ぎ、通常運行には21人の運転士が必要なのに対し、17人まで減ったことで7月から一部減便する対応を取っている。現在、1人が運転士免許取得に向けて研修をうけているが、通常運行に必要な人員には足りない状況だ。
運転士の平均年齢は研修生を含めても45・3歳。20歳代はおらず、将来的に運行を維持していくためにも、若手の確保は欠かせないという。
運転士不足は全国的にも課題となっている。長崎市中心部で運行し、地元住民や観光客の移動手段となっている長崎電気軌道では、今年2月、112便の減便を行った。同社によると、運転士確保に向け、地元の高校向けの説明会や社宅整備といった経済的支援などにも取り組んできたが、十分な補充ができていないという。
万葉線でも、退職の原因に、夜間や土日祝日の勤務があることなどが影響しているとみており、過度な残業がないことなどを強調し、アピールに努めている。
同社運輸部の松島準一次長は「地域の人たちの足を守るため、若い人に入ってもらえるよう取り組んでいきたい」と話している。
万葉線の減便を受けて、高岡市の出町譲市長は定例記者会見で「きわめて大事な公共交通だが、減便となるのは想定外だった。射水市や運行事業者とも一緒に対策を考えていかなければいけない」と話している。
運輸総合研究所(東京)の金山洋一研究統括は「路面電車は沿線の活性化、人口の維持に重要な役割を果たしている。沿線自治体が今まで以上にサービスレベルの維持、労働環境の改善に主導的に関与していくことが重要だ」と指摘している。