7月に発生した令和8年熊本地震では、民家だけでなく寺院も被災した。浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺)の職員として8月に現地へ向かった原田真哉さん(32)が、報道陣の取材に現地での支援活動を振り返った。(浜崎春香)
原田さんは8月11~17日、最大震度6強だった熊本県八代市を中心に、宗派が同じ寺院の支援にあたった。地震発生から約2週間たっていたが、道路にはがれきが散らばり、屋根や門が崩れた寺の中ではお札や畳が散乱。余震の影響なのか、同じ寺院でも初日と最終日とでゆがみ具合が変化している部分もあり「言葉を失いました」。
10年前の地震や昨年の水害で被害を受けた寺では、耐震補強や修復工事を進めている最中で再び地震が襲った。被災者からはやるせなさを感じ、思いの丈を聞くのに徹したという。
倒壊した寺院の屋根瓦を1枚ずつはがして選別したり、冷却グッズなどの物資を運んだり。選別作業で手に取る物は、一つ一つ相手にとって大切なもの。「昔の思い出の品が出てくることもあり、丁寧な作業を心がけた」と語る。
熊本県内の寺では、本堂や鐘楼、山門が倒壊するなどの被害が出ていた。それでも、中には地震発生からほどなくして県外から大工が駆けつけ、建物のゆがみを補強したところもあったという。支援に訪れた寺でも、今後を見据えて屋根瓦を仕分ける様子に、「みんな一歩一歩、次に向けて前に進んでいる」と感じた。
一定の広さがある寺は、支援物資を配給するための拠点になったところもあったという。夏休み期間と重なったこともあり、子どもたちの遊び場として活用された寺もあった。「近隣住民にとって、心のよりどころ、居場所になっている様子に、地域で果たすお寺の役割を再認識した」という原田さん。支援を通し、「広島の自坊などでの災害時、自分でもなにか出来ることがあるのでは」との思いを深めていた。
地震による熊本県内の寺院への被害状況が、徐々に明らかになっている。
県内に462か寺ある浄土真宗本願寺派は、約4割にあたる178か寺(9日時点)が被災した。西本願寺宗務所からは7日までに、原田さんらのべ34人の職員が現地へ向かった。
真宗大谷派(本山・東本願寺)は、県内120か寺のうち半数近い54か寺で被害を確認。建物の倒壊や傾き以外に、瓦の落下や仏具の破損もあったという。宗派職員のべ27人(15日時点)を現地に派遣し、水やブルーシートの配送、破損した外壁の撤去などを実施している。
浄土宗(総本山・知恩院)は、県内84か寺中31か寺(14日時点)で、本堂などの傾きやゆがみのほか、仏像の損壊、墓石の倒壊が起きた。タオルなどのほか、要望に合わせてロープやスポーツドリンクも現地へ届けているという。