手話を交えた歌や演劇などを競う「第13回全国高校生手話パフォーマンス甲子園」の「ダンス・歌唱部門」に、鳥取城北高ボランティア部などの5人と県立鳥取 聾 学校の3人が、合同チームで出場する。8人は練習を重ねながら、コミュニケーションの壁を乗り越え、27日に鳥取市のとりぎん文化会館で開かれる本番に臨む。(西海直也)
「(耳が)聞こえない人たちに伝わる応援方法ってあるの?」「サインエールがあるよ!」。同市国府町宮下の聾学校の体育館で16日夕、両校の8人がセリフを声に出しながら練習に取り組んでいた。演技はダンスにストーリーを加えた構成だ。
ストーリーは、甲子園に出場した鳥取城北の野球部をアルプス席から応援した同校の生徒が、耳の不自由な人に届いていたのか、聾学校の友人に相談。昨年のデフリンピック東京大会で誕生した応援の動作「サインエール」を教わる。鳥取城北の応援の踊り「どすこい城北ターン」に、「大丈夫 勝つ」などのサインエールを取り入れて一緒に踊る――という内容。
この日は、ダンスの位置に着くまでに時間がかかるなどし、制限時間の6分をオーバーする場面もあり、「位置をしっかり確認しよう」と改善点を話し合った。
両校の交流が活発になったのは今春から。聾学校中学部に在籍していた中原鈴華さん(16)が「色々なことに挑戦して視野を広げたい」と、鳥取城北に入学したことがきっかけだった。両校で「交流をさらに深められないか」と、合同チームを結成することになった。
聾学校の3人と中原さんは、日常生活で手話を使う。鳥取城北ボランティア部3年の田中 日暖 部長(17)は、部の活動を機に手話を学び始め、これまで聴覚障害者と接する機会があった。それでも「どうすれば、音に頼ることなく、一緒にダンスをできるか不安だった」と振り返る。
そこで、曲が始まるタイミングに合わせて手の指で「3、2、1」と合図を出して、視覚に訴えるなどの工夫をした。手話を使う時も、ポイントを簡潔にまとめるようにした。田中さんは「これまでは手話で全て伝えようとしていたが、指を使ったり、口を大きく動かしてはっきりしゃべったりするという、きちんと伝える姿勢が大切だと気づいた」と言う。
6月以降、両校は1回約1時間半の練習を約10回重ねてきた。聾学校高等部1年の板倉 昊大 さん(16)は「耳の聞こえる人と関わる機会があまりなく、最初は緊張したが、練習を繰り返すことで徐々にほぐれていった。ダンスの動きや声を出すタイミングは、周りを見ながら合わせている」と話す。
合同チーム結成のきっかけとなった中原さんは「周りと同じタイミングで声を出すのが難しいが、本番では笑顔いっぱいのダンスで、見ている人たちに勇気を届け、優勝を目指したい」と意気込んだ。
大会には「演劇・コント・ポエム等」と「ダンス・歌唱」の2部門に各8チームが出場する。県内からは鳥取城北と県立鳥取聾学校の合同チームのほか、県立米子東、米子松蔭がいずれもダンス・歌唱部門に挑む。秋篠宮家の次女佳子さまが出席、観覧される。
午前9時半開始。入場無料。出場校の演技は、大会の公式ユーチューブチャンネルで当日生配信される。